4話
雪が降り積もり、大地は凍りついていた。
深夜に近づいていたにもかかわらず、市委員会事務局からの一報が流れるや否や、下江市全体が完全に沸騰した。
市の重要研究機関である中華第三航天機械軍需工場のS級機密情報が盗まれ、最初の容疑者として市のGDP総生産額の42％を占める徐氏財閥の支配者、徐徳厚の名が挙がっていたのだ。
市委員会の臨時指揮調整室では、龍国涛書記の一声で、市内のすべての警察官、武装警察、さらには駐屯軍までもが市全体で大規模な網を張り巡らせる捜索を開始した。
国防機密の漏洩は、決して小さな事件ではないのだから。
この知らせを聞いた趙家は、完全に呆然としていた。
明らかに彼らは、事態がここまで発展するとは想像もしていなかった。これはまさに馬鹿げた話ではないか。
自分たち趙家が徐徳厚を誘拐する前は、この男に何の問題もなかったのに、誘拐したとたん、この男が指名手配犯になるなんて、くそったれ。
もし小さな問題なら、彼らは気にも留めなかっただろうが、国防機密情報の漏洩となると、この件は少しも疎かにできない。
趙家は心の中で分かっていた。もし彼らが徐徳厚を隠していたことが発覚すれば、趙家と龍国涛の確執から、相手は彼らの目的など気にも留めず、すぐさま「外国のスパイと私的に通じていた」という帽子を被せてくるだろう。そうなれば、本当に責任を逃れられなくなる。
たとえ金を使って関係者に働きかけたとしても、誘拐罪だけは免れないだろう。
さらに現在、龍国涛は市委員会のトップであり、彼が機会を利用して趙家を調査し、党政機関における趙家の人員を一掃すれば、趙家は完全に終わりだ。
今、彼らの前には二つの道しかない。徐徳厚を解放するか、しないか！
深夜にもかかわらず、趙家の別荘のホールはまだ明るく照らされ、すでに白髪交じりの趙家当主の趙天弘は眉をひそめ、黙って考えていた。
バン！
趙天弘の瞳から冷たい光が放たれ、手に持っていた高価な青花の茶碗を叩きつけると、すぐさま嗄れた声で叫んだ。「くそっ、この件は絶対に怪しい！」
部屋中の人々は沈黙していた。
皆の心の中では明らかだった。龍国涛と徐徳厚の関係を考えれば、たとえ徐徳厚に問題があったとしても、この重要な時期に彼を暴露することは絶対にないはずだ。結局のところ、彼が趙家に対抗するためには、まだ徐家に頼る必要があるのだから。
しかし今、それが暴露され、しかも自分たちが彼を誘拐したばかりのタイミングで、これに含まれる意味は深く考えさせられる。
この中には絶対に問題がある！
ほとんど考える必要もなく、趙家の人々はこの点を理解していた。そうでなければ、どうしてこんなにタイミングがぴったりなのか？
これは明らかな策略だ。
しかし、それを知っていても、彼らには何の手立てもなかった。龍国涛は彼らを完全に読み切っていた。
これが偽物だと知っていても何の意味がある？龍国涛が権力を乱用し、偽の情報を報告したと告発したところで何になる？
彼らがそれをやろうとしても、まず今夜を乗り切らなければならない。
さらに言えば、龍国涛がこんなことをする勇気があるなら、この男が後手を打っていないはずがない。
結局のところ、龍国涛が市委員会書記の地位に就いたのは、頭が熱くなって単純思考だからではない。反対に、趙家自身の情報によれば、この男は絶対に綿密な思考と毒々しい手段を持つ人物だ。
しかし、こんな露骨で堂々とした策略は、龍国涛のやり方らしくない……
これこそが現在の趙天弘がまだ躊躇い、決断できない本当の理由だった。
「お父さん、早く決断しましょう。さもないと間に合わなくなります」趙天弘の傍らにいた中年の男が立ち上がり、全身から支配者の気配を漂わせながら、冷たく言った。「青い山を残しておけば、薪に困ることはない」
「私が一度徐徳厚を誰にも知られずに誘拐できたのなら、二度目もできるはずです」
「伸縮自在であることこそ、大丈夫の道」
男が口を開くと、大広間は針が落ちても聞こえるほど静かになった。明らかに、その場にいる趙家の幹部全員が、この中年男性に対する恐れが、趙天弘という家長に対するそれを上回っていた。
趙天弘でさえ、深く息を吸い込み、最終的に諦めるように言った。「わかった、お前が手配しなさい」
趙天弘はとても惜しんでいたが、外から聞こえる夜空に響くサイレンの音、周囲を行き来する軍人や警察官の姿を見ると、彼もどうしようもなく感じていた。
彼は知っていた。もし自分が今決断を下さなければ、次の瞬間には龍国涛が警察を連れて押し入ってくる可能性があることを。
さらに重要なことに、今口を開いたのは自分の息子、趙文忠だった。
趙天弘はこの言葉を言い終えると、直接手を振ってリビングを離れたが、誰も趙天弘が去る際に趙文忠に向けた憎しみの表情に気づかなかった。
父親が去るのを見た趙文忠は、父親の背中を見つめ、目に一瞬の軽蔑の色を浮かべたが、すぐに消え去り、その後穏やかな目で趙家の人々を見て、冷静に口を開いた。「趙権、すぐに徐徳厚を連れて、警察署の我々の人間に案内させ、秘密裏に龍国涛の家に送れ」
「趙武、今すぐ中華第三航天機械工場に秘密裏に向かい、この件を徹底的に調査しろ。一体何が盗まれたのか、現場のすべての調査資料を整理して、直接紀律検査委員会の張雲忠に渡せ」
「趙風、車を用意しろ、省都へ行く……」
言い終えた趙文忠は無駄話をせず、直接ホールの外に向かって歩き出した。
趙文忠の言葉を聞いて、ホールの暗い隅にいた、血のような赤い髪をした、真紅のジャージを着た若者が、趙文忠より先に車の準備に向かった。
…………
一方、徐家の別荘内。
皆の表情は緊張し、龍彤瑩の父親からの最終的な知らせを焦りながら待っていたが、時折韓山に向けられる視線には、驚愕と困惑が満ちていた。
明らかに誰も、先ほど市委員会書記の龍国涛が徐家の別荘に入るなり、韓山に向かって一礼したこと、そして韓山のそれに対する軽蔑するような態度を忘れることができなかった。
皆は韓山の先ほどの計画には鼻で笑っていたが、韓山の身分には濃厚な興味を抱いていた。
先ほど韓山と衝突した華強は、今や完全に呆然としていた。
先ほどまでは韓山に復讐をする気持ちがあったが、今はそれも完全に泡と消え、ただ諦めのため息をつくしかなかった。
明らかに華強は心の中で理解していた。韓山の先ほどの振る舞いと、龍国涛親子の韓山に対する行動を見れば、韓山は自分が手を出せる相手ではないことを。
現在の徐若渓でさえ、時折興味深そうな目で韓山を見るだけで、すぐに父親への心配に取って代わられていた。
その場で唯一、韓山自身だけが、すでに皆を無視し、退屈そうにテレビを見始めていた。
バン！
別荘の玄関が突然開かれ、眼鏡をかけた若者が駆け込んできて、急いだ声で叫んだ。「葉さんはどなたですか、大変なことになりました」
「徐徳厚さんが、警察に発見されました。龍書記の別荘で昏睡状態で！」
まさか！？
このニュースを聞いて、別荘にいた全員が驚いて立ち上がった。今まさにだらしなくテレビを見ていた韓山でさえ、跳ね上がり、鋭い目に信じられないという色が満ちていた。
しかし韓山はほんの一瞬考えた後、口元に微笑みを浮かべた。
静かに言った。「面白くなってきたな」