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95話

水瓢を鍋に入れて水を足すと、孫氏は息子の声を聞き、手元の水瓢を竈台の上に置いてから、ゆっくりと振り向いた。

「初心や、お前は確かに前より出世したけど、決して陸金貴のようになってはいけないよ。月荷が使っている化粧品はすべて私が買ってあげたものだ。彼女に身だしなみを整えることを学んでほしいからね」

家庭円満こそすべての基だ。月荷は争い事を好む性格ではなく、自分の息子も素直だ。だが外から家庭を壊そうとする者がいないとは限らない。

「なるほど、母上は僕が心変わりするのを心配されているんですね、はは」

母の言葉を聞いて、宋初心は思わず鼻をかきながら苦笑いした。

彼と月荷のことは、実の母親に対し...