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70話

目の前の侍女を見上げると、彼女の顔立ちも話し方も地元の者とは違うようだった。二人は一瞬、彼女の素性が分からなかったが、その様子から見て、裕福な家の者であることは間違いなさそうだった。

「私たちの飴りんごは酸味と甘味が混ざった味です」

隣の宋初心を見ると、彼が励ますような目を返してくれたので、少し緊張気味だった戴月荷は正直に答えた。

この侍女は酸っぱいものを欲しがっているようだったが、実際この飴りんごは酸味と甘味が混ざった味で、そこまで酸っぱくはない。侍女が買って帰って期待外れだったら困るからだ。

「はい、十文です。まずは一本食べてみますね」

自分の主である如蘭様の命を受け、街中で酸っ...