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21話

真夏の夜、蒸し暑さはまだ残るものの、日中に比べれば随分と過ごしやすくなっていた。

芸娘は戴月荷に薬を塗り終えると、他に不調はないかと丁寧に尋ねた。彼女が首を振るのを見て、ようやく満足げに立ち去った。

親切な芸娘は、去り際にもなお細かく注意事項を言い聞かせたが、戴月荷が心事で一杯で早く立ち去りたそうにしているのを見ると、適切なところで言葉を切り上げた。

芸娘が去るのを見ると、戴月荷は一刻も無駄にせず、足早に兄の病室へと向かった。

ところが、ちょうど戴月光の診察を終えた吴大夫と二虎の二人と出くわしてしまった。彼女は急いで礼を述べ、二人を引き止めて兄の怪我の具合を尋ねようとした。

「お兄さ...