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175話

「夫婦二人だけでなく、梅三爷までもが頭を悩ませていた。今日の商談はどうやら上手くいきそうにない。

それでも彼は気品を装い、周囲の友人たちに挨拶を続けた。顔に浮かんだ失望の色はほんの一瞬だけだった。

対照的なのは宋初心夫婦だった。二人も人を怒らせるのは避けたいと思っていたが、店を売ると言っただけでこれほど多くの人が集まってきたことに、自分たちの小さな店に誇りを感じていた。

「宋さん、店を売るって聞いて、すぐに駆けつけましたよ。いくらで手放すつもりですか?」

「そうだ、店員と調理法さえ残してくれれば、値段は相談に乗るよ。他の人が出した額の倍出そう」

「ふん、慶元郡であんただけが金持ちだと...