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126話

「青青!」

「青青!」

ほぼ同時に、宋初心と目の前の小間使いが同じ名前を驚きの声で呼んだ。

彼女は絶対に怪しい。そうでなければ、どうして彼女だけが無事なのか。後で会ったときには、必ず注意しなければ。

「これは朱砂です。後で奥様にお渡しください。身につけていれば、もしかしたら難を逃れられるかもしれません」

小間使いはポケットから油紙に包まれたものを取り出し、宋初心に差し出しながら、その使い方を小声で説明した。

暗闇の中、微かに冷たい風が指先を撫でる。朱砂を受け取った宋初心の手のひらは、止めどなく震えていた。

「母は?まだ助かる可能性はあるのか?」

その声は心を凍らせるような冷たさを帯びていた。宋...