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70話

老李の言葉を聞いた途端、女性の表情は一気に和らいだ。彼女は唇を噛んで微笑むと、くるりと向きを変えて老李のほうへ歩み寄ってきた。

その間に、老李はもう一度受付の二人に目をやった。彼女たちも胸をなでおろしたような表情で、頭を上げて老李を崇拝するような目で見つめていた。

こうして人に崇められる感覚こそ、自分が求めていたものじゃないか!

「こんにちは、あなたが鉄社長の紹介で来られた李さんですね。先ほどは私の従業員が行き届かない対応をしてしまい、大変失礼いたしました。どうかお許しください」女性は形式的な言葉を丁寧に述べながら、片手を差し出して老李と握手した。

「気にすることはありませんよ。誰でも...