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68話

「すみません、紹介状がなければ、会社に無断で入ることはできませんよ。忠告を聞いていただけないなら、警備員を呼ばざるを得ません」受付の女性は李おじさんが真っすぐ前に進もうとするのを見て、急いで前に出て制止しようとした。だが李おじさんは止まる気配もなく、受付嬢の腕をひと押しで払いのけ、そのまま前進し続けた。

警備員なんか呼ぼうが関係ねえ。俺様はここ数年大人しくしてたが、誰にでも踏みつけられるような柔な人間じゃねえ。追い詰められりゃ、呼んできた警備員もろとも叩きのめしてやるわい。

急いで歩いていたせいか、李おじさんの怪我をした足が急にひねれ、瞬時に痛みで地面にしゃがみ込み、顔色も険しくなった。

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