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606話

老李が止まると、潘文清はようやく息を整えた。もう時間を無駄にはできない。潘文清の声はようやく少し正常に戻り、十数メートル先のベッドに横たわる夫の大威を見上げながら、電話で話し続けた。

「大丈夫よ、たださっきあなたが私に無理して欲しくないって言ってくれたのを聞いて。

なんだか急に泣きたくなっちゃって。もう大丈夫、今涙拭いたから。わかったわ、あなた。言う通りにするわ。今は切るね、先に仕事を終わらせて、早く帰ってあなたのそばにいるから、いい?」

潘文清の言葉に大威は感慨深く思った。自分の妻がこんなにも思いやりがあり、以前よりずっと優しくなったことに、大威の心は温かさで満たされた。さらに妻が自分の...