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60話

「鉄さん」という呼び名を聞いた瞬間、二人の警備員はまず一瞬戸惑い、そして何かを思い出したかのように、急に態度が恭しくなった。

「あ、鉄オーナーのお客様でしたか。今日は鉄オーナーから特別に言づけがありまして。どうぞお二人ともお入りください。先ほどは失礼いたしました。どうかお許しください...」李おじさんに深々と頭を下げながら、警備員の表情も徐々に変わっていった。最初の威勢のよさから今では顔を真っ赤にするほど恐縮し、李おじさんはその変わりように不思議さを覚えた。

確かに自分は鉄柱に招かれた身だが、この二人がここまで怯えるほどのことだろうか?どう考えても今の自分の立場では誰かを恐れさせるようなこ...