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535話

女というものは生まれながらの役者だと認めざるを得ない。今、潘文清を見ていると、老李は先ほどまで自分のことを「ご主人様」と呼んでいた女性が彼女だとは思えず、少し恍惚としていた。

老李はしばらく二人を見つめ、彼らがコンパクトな乗用車に乗って去るまで視線を外さなかった。

この女性は本当に見飽きない。もし潘文清に魅力がなかったら、大威のあの太った上司も彼女を手に入れるためにあれほど苦労はしなかっただろう。

潘文清を見るためだけにぶらぶらしていた老李は、今また当直室に戻ってきた。

「老李さん、何もなければ早く帰りなよ。もう時間も遅いし、せっかく上の連中がいないんだから、ちょっとは息抜きしようよ。...