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267話

壁面一杯のクローゼットは四方に引き戸がついている型で、李おじさんが今開けていたのは中央に近い片側の引き戸だった。そしてこの扉は劉珊と丁度向かい合う位置にあった。

李おじさんと劉珊は薄暗がりの中で一瞬目が合い、お互いの目に燃え上がる欲望の炎が熱く燃えているのが、ぼんやりとした中でも感じ取れた。

李おじさんはふと良い考えを思いついた。ハンガーと、そこに掛かっていた服を引っ張り出し、その服を立てかけるようにして扉の隙間に向けた。これで外からの視線を遮るだけでなく、劉珊からも李おじさんの姿が見えなくなった。

こうなると、李おじさんはようやく体を伸ばすことができ、さらに少し前に体を傾けた。暗闇の中...