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970話

「葉……葉先生、よかったら先にリビングでテレビでも見ていませんか?まだ寝るには早いですし」紅おばさんは軽く髪をかきあげながら、頬を赤らめて言った。

「ああ、そうするよ」

葉天明はリビングに入り、ソファに座ってテレビをつけ、適当にチャンネルを変えた。彼にはテレビを見る気分などなかった。外では雷鳴と稲光が一時間も続き、激しい雨がざあざあと降り注いでいた。軒先から落ちる雨水は柱のようになって流れ、珍しい大雨だった。

紅おばさんがお茶を持ってきて、にこやかに言った。「葉先生、どうぞお茶をどうぞ。自家製の山茶ですが、高級品とは言えないものの、独特の味わいがありますよ」

「紅さん、そんなに気を遣わなくてい...