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838話

この年頃の少女の身から漂う香りは、実に人を惑わせる。

葉天明の熱い視線を感じ取った少女は、一瞬にして胸がときめき、頬に恥じらいの赤みが浮かんだ。

葉天明が立ち去った後も、彼女はその場に立ち尽くしたまま、頬を火照らせ、ぼんやりとしていた。

「あの人...誰なんだろう、なんてかっこいいんだろ」

彼女の輝く瞳には、夢見るような恍惚の色が浮かんでいた。

葉天明は三階の事務所にやってきて、ドアをノックすると、中からすぐに不機嫌な声が響いた。「どうぞ!」

葉天明はドアを開けて入ると、満面の笑みを浮かべて言った。「呉...呉所長」

「あなたは...誰?」呉所長の顔には戸惑いと苛立ちが浮かんでい...