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765話

その時、珍児が蔡小樹を連れて部屋に入ってきて、偶然にもこの場面を目撃してしまった。

二人は慌てて離れたが、珍児の可愛らしい顔には一瞬の驚きと痛みが浮かび、灯籠のように大きな瞳に戸惑いの色が見えた。

楊桃は顔を赤らめ、慌てて立ち上がると、笑いながら言った。「葉村長が何か用事を伝えに来てくれただけよ、珍児、誤解しないで」

珍児は軽くうなずいた。楊桃が小樹と部屋に入ると、珍児は不思議そうに尋ねた。「葉先生、楊桃姉さんはどうして泣いていたんですか?」

「ああ、彼女から薬草をよく買ってくれていたお年寄りが亡くなったんだ。彼女は最後に会えなかったらしい」と葉天明は説明した。

「つまり、葉先生が楊桃姉さんを...