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742話

「この機会に、あの二匹のゴキブリを始末してしまえば、これ以上ないチャンスだ」

葉天明が深く息を吸い込んだその時、珍児が当直室から出てきた。彼女は今日、鮮やかなスポーツウェアを着こなしていた。墨のように黒い長い髪が滝のように肩に流れ落ち、丸首の体にフィットしたTシャツが彼女の愛らしい体つきを一層引き立てていた。

下半身のショートパンツはヒップにぴったりと張り付き、すらりとした脚は瑕疵ひとつない白磁のようだった。

葉天明は珍児の愛らしい姿に一瞥をくれただけで、たちまち息遣いが荒くなった。

「この娘は、自分が男にどれだけの殺傷力を持っているか、まったく気づいていないな」

珍児はにこにこしなが...