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609話

「合計で六十三万八千九百八円です。一銭多くも少なくもありません!」二慶子は重そうな鞄を提げながら、震える声で言った。

「葉村長、そろそろ失礼します。今後もエビがあれば、連絡してください。うちは買取価格も高いし、支払いも早いですから」老人は一枚の名刺を差し出した。葉天明はそれを受け取り、ちらりと見た。林漢生、山海城農貿市場主任とある。

まさに人は見かけによらないものだ、と葉天明は内心驚いていた。

「林主任、せっかく来ていただいたのに、食事でもしていかれませんか」葉天明は進んで声をかけた。臥龍村の発展には様々な要素との連携が必要だ。林漢生は農貿市場の主任で、今後の農産物取引でも頼りになる人物だった...