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450話

彼女は泳ぎ疲れて、温泉の岩に腹ばいになり、白い背中をさらけ出していた。濡れた髪が肩に沿って流れ落ちている。

葉天明は目が釘付けになり、「どすん」と足を踏み外した。

「誰?」

葉天明は地面を押さえ、転びそうになるのを何とか踏みとどまった。狼狽えながら立ち上がり、逃げ出したい衝動に駆られた。

珍児に覗いていたところを見つかったら、自分の立派なイメージはすべて台無しだ。

いや、違う。昼間だし、彼女は水着を着ているんだ。覗きなんかじゃない。

そう考えると、葉天明は急に勇気が湧いてきた。軽く咳払いをして、山を登った。

少し慌てた様子の珍児は体を丸め、いつでも服を着られるように準備していた。そのとき、葉天...