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38話

「シッ、声を小さく。光兄貴が隣で用事を済ませてるから、邪魔しないように」

「ああ、唐雨欣ってマジ美人だよな。でも気が強いから、光兄貴が今回強引にやっても成功するかどうか」

「へへ……光兄貴が出る幕なら、葉天明が見てる限り八割方うまくいくさ」

「見てみろよ、光兄貴が始めたぞ……」

「ちょっとどいてくれ、俺も見たいんだ……」

二人が唐雨欣の名前を口にするのを聞いて、葉天明の胸が締め付けられた。

葉天明はポケットから細い針金を取り出し、鍵穴に差し込んで静かに操作した。

「カチッ……」

すぐにドアが開き、葉天明は物音一つ立てずにゆっくりと中に入った。

二人は壁際に身を屈め、小さな穴を...