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184話

葉天明はポケットを探り、ファイヤースターターを取り出した。

これは臥龍村に来る前にネットショッピングで購入したもので、アウトドア生活の必需品の一つだった。

洞窟の中には、たくさんの雑草や枯れ木が蓄えられていた。きっと楊桃がここで一時的に身を隠していたのだろう、あらかじめ準備していたに違いない。

葉天明は地面にしゃがみ込み、ファイヤースターターを擦り合わせると、次々と火花が空気中に飛び散り、雑草に火が点いた。

楊桃は急いで火を起こし、それまで暗かった洞窟が、この瞬間に光に包まれた。

今は夏だというのに、二人とも大雨に濡れそぼち、雨水が体温を奪い続け、思わず震えが止まらなかった。

今、火ができたこ...