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1163話

十数分ほど歩いたところで、前方の通路が少し広くなった。二人が目を凝らすと、そこは比較的大きな洞窟になっており、周囲には二本の、どこかへ続く隧道が伸びていた。

二人が体を伸ばしたその瞬間、前方の漆黒の岩壁に突如として無数の暗赤色の小さな目が灯った。びっしりと壁一面に広がるそれらを見て、二人は大いに驚愕した。何か恐ろしい怪物か、あるいは待ち伏せにでも遭ったのかと思い、緊張のあまり二人は無言のうちに背中合わせとなり、防御の陣を敷いた。

おそらく緊迫した空気のせいだろう、誰かの足が小石を蹴飛ばし、「ポン」という音が静寂の洞窟に雷のように響き渡った。すると前方で静かにしていた赤い小さな目が驚いたかの...