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1155話

人は英雄を崇拝するものだが、葉天明はそうは思わなかった。雷霆は名声が高く、弱みとなるようなものを持っていないが、その息子である雷家の御曹司は紛れもない放蕩息子であり、それは間違いなく彼らの家の顔に泥を塗るものだった。

まるで常に善人と呼ばれてきた人が、ある日突然悪事を働けば、その良いイメージは一瞬にして消え去ってしまうようなものだ。人々は彼がそれまでに行ってきたことも全て演技だったのではないかと疑い始め、実は偽善者だったのだと思うだろう。

たとえ雷霆が軍内でどれほどの影響力を持っていようとも、この愛息子がいる限り、表面上は会場の人々が彼に敬意を示していても、実際のところ雷万鈞が元安省や周辺...