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1121話

「彼は他人が持っていない能力を持っているのだから!」

老人は大壺を両手で持ち上げ、皆に一通り見せた後、そっと置いて言った。「皆さん、実は家庭の事情で急に現金が必要になりまして、やむを得ずこの愛蔵品を店に持ってきて売らせていただくことになりました。どうか皆さん、ご理解いただければと思います」そう言いながら、壺の滑らかな表面を撫で、名残惜しそうな表情を浮かべ、その年老いた瞳には涙さえも光っていた。

周囲の人々は皆、ため息をついた。品物は本物ではないとはいえ、この精巧な品の値段に多くの人が二の足を踏み、見物客の大半はすぐに散っていき、残ったのは葉天明の二人ともう一組の男女だけだった。

「100...