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84話

「警備室から衛兵が身を乗り出し、急いで叫んだ。「奥さん!お電話です」

言真の胸がドキリと跳ね、思わず尋ねた。「顧維琛からですか?」

衛兵は笑いながら答えた。「奥さん、ご心配なく。団長からですよ。大丈夫ですって!」

言真はようやく少し緊張が解けて、照れくさそうに微笑んだ。「はい、今行きます」

受話器を取ると、顧維琛の声が聞こえ、先ほどまでの不安な気持ちが和らいだ。

「僕のこと心配してたの?」

「怖がらなくていいよ、何ともないから」

「それに、君がそんなに僕を心配してくれて、嬉しいよ」

言真は受話器をぎゅっと握りしめ、小さく頷いた。すぐに顧維琛には見えないことに気づき、顔を赤らめな...