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62話

二人の動作は無意識のもので、頭の中は真っ白になっていた。

顧維琛はその唇の柔らかさを感じ、血液が一気に心臓に集まるのを感じた。彼は呼吸することさえ忘れ、窒息しそうな、でも密やかな喜びを覚えた。

言真は自分がどこにいるのか分からないような感覚に包まれていた。彼女は目を閉じ、まるで波に乗って漂う小舟のように、海面に浮かんで、ふわふわと浮遊感を覚えた。

……

キスが終わった時、二人とも息を切らしていた。キスしながらでも呼吸できるということを知らなかったのかもしれない。この歳になってまだこんなに純情だなんて。

お互いの恥ずかしそうな、でも平静を装おうとする顔を見て、二人は思わず笑い出した。

なんて馬鹿...