風が吹いてきた

71話

遠くから静かな風が吹き寄せ、その風の中に立つ少年を軽く後ろへと引っ張った。白いシャツが風に膨らみ、その冷淡な顔は少し憔悴し、力なく見えた。

阿深は突然、喉が刺すような感覚を覚え、鼻がすぐに痛くなった。

阿深は易小森の視線を受け止め、軽やかに微笑み返した。

傍らの母子は驚きから我に返り、子供が母親にしがみつき泣き始め、棒付きキャンディを取られたと騒ぎ立てた。

若い母親はほとんど恐怖と驚きに襲われたように、自分の子供を抱きしめると、急いでその場を離れた。

易小森はそこに立ち尽くし、冷たい風に痩せこけた体を包まれながら、まるで荒涼とした廃墟の中に立ち、世界全体を覆い尽くす孤独の中にいるよう...