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68話

少年は携帯の電源を切り、椅子を一蹴りして、どかりと腰を下ろした。

顔離は笑みを浮かべ、尋ねた。「名前は?」

少年は冷たく一笑し、黙ったままだった。

顔離は立ち上がり、少年の視線を感じながら再び売店へ向かった。戻ってきた彼女の手には「中華」というタバコが二箱あった。

少年は眉を上げた。

彼女はタバコを机に置き、ゆっくりと彼の方へ滑らせると、椅子に座り直し、意味ありげな笑みを浮かべたまま彼を見つめた。

顔離「どんなタバコが好きか分からないけど、私の持ってるお金で買えるのはこれだけなの」

少年は口元を歪めて笑うと、手際よくタバコの箱を開け、一本を指の間に挟んでもてあそび、口に咥えて火を...