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36話

顔離は小走りに人気のない校門に着き、その場で一回りして辺りを見渡したが、彼の姿はどこにも見つからなかった。

彼女がポケットから携帯を取り出し、易小森の番号を押そうとした瞬間、携帯は無理やり奪い取られてしまった。

顔を上げると、精巧な化粧を施した顔と、極めて薄い目が視界に入った。

蘇野はガムを噛みながら、顔離の携帯をもてあそび、投げやりでありながらもどこか嘲るような眼差しで彼女を見つめていた。二人の距離は近く、顔離には蘇野の顔に塗られた厚いメイクの跡がはっきりと見えた。まるで不自然な仮面を被っているかのようだった。

足元から風が吹き込み、ズボンの裾をめくり上げ、一筋の冷気が走った。

顔...