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34話

「診療所を出た易小森は、入る前より明らかに弱々しく見えた。

しかし、眉間に漂う冷たい気配は相変わらずで、漆黒の装いからは禁欲的なオーラが満ちあふれていた。

雨はすでに止み、濃い霧が街路の上に漂っていた。彼はポケットに両手を突っ込み、ゆっくりとした足取りで人混みを抜けていく。

道すがら、タバコをくわえた不良少年たちが時折「森兄貴」と恭しく声をかけてくるが、彼はわずかに頭を下げるだけで、立ち止まることなく通り過ぎていく。会話を交わす意思はまったくない。

以前、阿虎の下にいた頃も、彼は阿虎のように盲目的な暴力や横暴さを見せることはなかった。

いつも控えめで冷たい性格だったが、残忍な仕事をす...