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19話

個人診療所の中で、医者は片付けをしていた。白熱灯がちらちらと点滅し、まるで壊れそうな様子で、香炉の煙が診療所全体に漂っていた。

梁医師は老眼鏡を上げ直し、医薬箱に鍵をかけ、深いしわの刻まれた目を細めながら、目の前の二人の若者を見た。

一人は椅子に座って膝を出し、もう一人は地面にしゃがみ込んで出血している膝に薬を塗っている。思わず微笑んだ。

「軟膏はここに置いておくから、忘れないでね。この老いぼれ電球はもう帰るよ」と梁医師は言った。

易小森は小さく「うん」と返事をし、視線は顔離の膝に集中したまま。細長い指で薬を含ませた綿棒を持ち、一点一点と傷口に丁寧に塗っていく。

顔離は目を上げ、梁医...