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16話

病院の薄暗い廊下を白衣を着た看護師たちが次々と行き交い、救急室のライトは明滅を繰り返していた。夕暮れの老人、すすり泣く子供、誰もが妙に虚ろな目をしていた。

顔離は病院のベンチに座り、疲れ果てていた。うなだれた彼女の髪が顔全体を覆い隠している。

彼女はポケットに手を突っ込み、小さく体を丸めて、まるで眠っているかのように目を閉じていた。

暁暁は彼女の隣に座り、サンドイッチと牛乳を手に持ちながら、何度も彼女に渡そうとしたが、顔離の今の疲れ切った様子を見て、どう声をかければいいのか分からなかった。

担任の先生が顔離の前に立ち、言いよどむ様子だった。

「顔離さん、あまり考え込まないで。何事も解...