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189話

杨昊は穏やかに入り口の方を見た。そこには三十代半ばの男が立っていた。書生のような儒雅な雰囲気を纏っていたが、その深い瞳の奥には、何かを断ち切るような鋭い殺気が宿っていた。明らかに、女性を惹きつけてやまない男だった。

案の定、その男がバーに足を踏み入れた途端、場内の女性たちから歓声が上がった。

「あなたが破軍と呼ばれる凌風ですか?」杨昊は一目で来訪者の正体を見抜いた。

仕方ない、凌風はいつだって派手に振る舞い、登場するたびに女性たちの悲鳴を誘っていた。それだけ彼の魅力が本物だということだろう。

燕京の地では、七絶の張文賢、破軍の凌風、貪狼の楊剛の三人が、業界内では「燕京三傑」と呼ばれてい...