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549話

肉まんを大きく頬張りながら、牛乳を慌てて飲み込む。もう少しで喉を詰まらせるところだった。交差点に着くと、路肩に一台の小さな乗用車が停まっているのが見えた。

真っ赤な車体で、普通の乗用車よりずっと短く、小さい。明らかに女性向けの車だ。値段は十万元もしないだろう。

そこまで新しくはないが、オーナーが大切に扱っているのか、とても清潔に保たれている。

周りを見回しても他に車は見当たらない。すぐに頭を下げて車に向かって歩いた。

車に近づくと、助手席の窓ガラスが突然下がった。呉丹青がハンドルを両手で握りしめ、乗れとも言わず、無表情で私を一瞥した。私は急いでドアを開け、にこやかな顔で中に滑り込んだ。

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