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969話

「放して!」

私の声は彼女の胸に埋もれて籠もった音になり、まるで死に抗う老人のようだ。死にたくない、でも抗う力もない!

「お兄ちゃん、私を抱いて、私を抱いて。私はあなたのもの、ずっとあなたのもの、最初からあなたのものだったの。こんなに冷たくしないで、お願い。私、お兄ちゃんのこと好きなの、本当に好き!お願い、私を抱いて……」

熱い涙が私の頭上に落ち、頭皮がぞくりと震えた。

彼女が、私を好き?

ずっと私のことを好きだった?

頭の中で、理性という名の最後の一本の糸が、ぷつんと切れた!

「パン!」

その何かが切れる音がはっきりと聞こえた気がした。その瞬間、私は自分をコントロールできなくなり、身...