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923話

「うん、我慢できる。彼女に何もしなくてもいい。だが、彼女は俺のものにならなければならない。そうでなければ、恩知らずを救ったかどうかわからないじゃないか。それは時間の無駄だ。そもそも俺は綱渡りをしているようなものだ。彼女を救うどころか、この呪われた場所で自分の命を落とす可能性だってある」

「お前、言ってみろ」

彼女は警戒しながら俺を見つめていた。小さくて丸みを帯びた肩はまだ震えていたが、必死に歯を食いしばって、自分の恐怖があからさまに表れないようにしていた。

「俺がお前を助けてやる。だが条件がある。これからはずっと俺の言うことを聞け。裏切るな。離れるな。大きくなっても、一生俺についてくるこ...