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912話

「ははは、男と男こそが本物の愛だ。美女、もう諦めたらどうだ?二人の仲を成就させてやれよ!」

周囲の人々から野次が飛び、特に先ほどまで「今夜は絶対に彼を手に入れる」と豪語していた女は、今や公衆の面前で顔を潰され、その表情はまるで汚水溜めの石ころよりも酷い有様だった。

「五百八万!」

「五百九万!」

「六百万!」

場内騒然となった。これほどの法外な値段をつける男などいまだかつていない。私を見る皆の視線が徐々に変わっていくのが分かった。六百万という値段を平然と言い放つ男は、もはや並の人間ではないだろう。

「あなた!」

「怒らないで。お金があるなら続けて上乗せすればいい。もう呼ばないなら、私は少し節約...