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856話

「申し訳ありません、お客様のお電話は電源が入っておりません」

そんな案内が聞こえてきて、僕は怒りのままに携帯をその場で叩きつけた。

「くそっ!こんな時に役立たずか?」

仕方なく寮から出て、直接お姉さんに相談しに行くことにした。この問題をいったいどう解決すればいいんだ?

「黎秘書、いる?」すぐに彼女の寮の部屋に着いて、ドアをノックしたが、中からは何の反応もない。何度か呼びかけても、やはり反応がなかった。もう一度電話をかけると、今度は圏外になっていた。

焦りに駆られた僕は、思い切り何度か蹴りを入れてドアを蹴破った。

「黎清清!」

ドアを開けて中に入ると、誰もいなかった。ベッドにも、洗...