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835話

「言い過ぎちゃったよ…」

話すのが早すぎて、言うべきではない秘密を口走ってしまった。気づいた時には、学部長はすでに私の前から飛びのいて、警戒心丸出しの表情で私を見ていた。

「やっぱりあなた、最初から知っていたのね?」

「ええ」

もう口に出してしまったからには、隠す必要もない。本来なら彼らの間の体面を保ってあげるつもりだったが、今となってはその必要もなさそうだ。

学部長は私の前で情に訴えかけるふりをして、私の心を動かし、引き止めようとしていたのだ。

そうでなければ、毎学期これだけの寄付金を、誰に頼むというのだろう?

「それならば、学部長が協力したくないなら、私は直接学長のところへ行...