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816話

彼女もまた、哀れな少女だ。

「そんなに怯えないで。怖がらないで。私がいるよ。ずっとここにいる。君を置いていくことなんてない。大丈夫だから」

私に抱きしめられた瞬間、彼女の体は硬直した。まるで虎の手に落ちた獲物のように、それまでの抵抗がピタリと止まった。

「あなた...ずっと私のそばにいてくれる?本当に離れたりしない?」

彼女は茫然と顔を上げた。いつもの冷たい防御の色は消え去り、残っているのは戸惑いと途方に暮れた表情だけだった。

「ああ、ずっとそばにいるよ。何があっても、いつ必要とされても、どんな困難があろうとも、必ず君の前に現れる。君は僕の心の中の女神なんだ。誰にも傷つけさせない。たとえ僕自身...