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758話

「あなた……」

彼女は小さな口を開き、その赤く潤んだ唇は、この二日間の病気のせいで乾燥して皮が剥けていた。ひどい箇所では、乾いた血の跡さえ見えた。

私は首を振り、スプーンで食べ物をすくって彼女の口に運んだ。

「何があっても、ご飯は食べなきゃ。じゃないと、やりたいことをする体力もないでしょう。まだ天が落ちてきたわけじゃない。何でもまだ可能性はある。それに、仮に天が落ちてきたとしても、背の高い人が前に立って支えてくれるから、あなたには関係ないんだよ」

彼女を励ましていると、考えを改めたのか、本当に一杯のチキンスープを飲み干した。空になった器の底を見て、私はようやく安心した。

「外に出て、看護師を呼...