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736話

「パスワード。」

「12345678。」

彼女は実に素直に一連の数字を言った。私は呆れた顔をしてしまう。まだ自分の家のパスワードをこんな風に設定している人がいるなんて。真夜中に誰かがドアを開けて入ってくるのを恐れないのだろうか。

しかも、たちが悪いことに、私が入力するとドアはあっさりと開いてしまった。

「頭おかしいんじゃないの?」

思わず一言罵ってしまった。この女、敵が多いんじゃなかったのか。それなのにこうも簡単に自分を危険にさらすなんて。このパスワード、子供でも簡単に解読できることを知らないのだろうか?

「あつい、あつい、欲しい!」

「欲しいって何よ!」

思わず低く呪い、ドアを開けて中に入っ...