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697話

「いや、俺はこの女を完全に怒らせてしまったんだ」

最近、彼女は一言も話しかけてこなくなった。訓練もしないし、朝も起こしに来ない。逆に俺の方が毎日彼女のベッドの前で見守り、三食の世話をしている。

もう二度と不埒な考えなど浮かぶ勇気もない。

「最近、訓練受けてないの?」

小白がこっそり美味しいものを差し入れてくれた。さっき黎秘書にあげたのと同じものだ。どうやら、まだ俺のことを忘れていないらしい。完全に色に目がくらんでいるわけではないようだ。

「黎秘書が病気なのに、誰が俺を訓練する勇気あるんだよ」

この基地に長くいるとはいえ、他の人とはほとんど接触したことがない。ずっとこの女が俺を訓練し、鍛え...