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617話

「ドアを開けた途端、何か違和感を覚えた。部屋は真っ暗で、冷え冷えとして、生気が全くない。ベッドの様子も朝出かけた時とまったく同じで、誰かが触れた形跡すらない。もしかして、慕容嫣然はまだ戻ってきていないのか?」

部屋の中をぐるぐると何周も回ったが、慕容嫣然の持ち物は見当たらなかった。これで確信した。彼女はまだ戻っていないのだ。

胸が締め付けられる思いがした。首府でさえ彼女に何かあったのか?電話一本よこさず、メッセージすら残さないなんて。これは慕容嫣然らしくない!

スマホを取り出し、近くのホテルにいる叔父に電話をかけた。つながるなり、叔父の声が聞こえてきた。「宋小伟、早く戻ってきて飯にしろ。...