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582話

首府に着いてから、慕容嫣然がようやく私の腕の中から起き上がった。眠そうな顔で私を見つめている。

「着いたの?」

「ああ」私も今起きたばかりで、頭がまだぼんやりしていた。ただ無意識に彼女の体を抱きしめて、私の上から滑り落ちないようにしていた。後ろの少女が私たちをずっと見ていて、その熱い視線が私と慕容嫣然の間を行ったり来たりしていた。

「後ろの人は誰?」

おそらく後ろの少女の視線があまりにも熱すぎたせいで、慕容嫣然も感じ取ったようだ。彼女は私の腕にしがみついて、猫のように体を寄せながら言った。「なんであんなにじっと見てるの?まるで蝿が糞を見つけたみたいね」

私は顔を曇らせ、頭が一気に冴えた。「誰が...