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564話

この世界で、私の唯一の肉親は父親だけだ。しかし今、父は生死不明で、どこにいるのかすら分からない。

ポケットから取り出したミントキャンディーを口に放り込み、噛み始めた。

至尊ホテルはA市最大のホテルで、レストランも客室も非常に優れている。サービスが行き届いているだけでなく、守秘義務の徹底ぶりも素晴らしい。国家の要人がここに宿泊したり、食事をしたりしても、その秘密が漏れることは決してない。

ここは私のお気に入りのホテルだ。

前回は慕容嫣然を連れてきて、一晩中狂ったように過ごした。あの妖精が私の上に跨り、しなやかな腰を揺らし、唇を軽く噛む姿。何気なく漏れる色気は、忘れられないほどだった。

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