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421話

「どうしても名乗らないなら、これからはあなたを苍井空と呼ぶことにするよ。どうせ、あなたも彼女も男を扱うのが特別プロフェッショナルだからね」

この前の暗い休憩室での出来事。彼女のあの高度なテクニック、今でも鮮明に覚えている。あの触れるか触れないかのような新鮮な感覚に、長く持ちこたえることもできず、あっさりと果ててしまった。

皮肉を込めて笑うと、彼女の表情が一瞬固まり、さらに冷たい態度になった。だが残念なことに、彼女はテーブルを叩いて立ち去るようなことはせず、ただ冷ややかな目で私を見つめながら、店員が料理を運んでくるのを待っていた。

「食事が終わったら、お互い別々の道を行きましょう。あなたと...