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389話

「まだ婚約式が中止になったことを引きずっているの?」

これだけ時間が経っても、彼女の冷たい雰囲気は変わらない。何気なく彼女を見ると、今でも目の奥に憂いの光を宿している。

これは、もう私が昔憧れた高嶺の花ではない。

「違うわ」

彼女の返事は早かった。早すぎて、かえって隠しきれていない様子だった。私は黙り込み、彼女と冗談を言い合う気にもなれなかった。施向南は彼女の心の中の消えない傷。誰も触れることのできない傷なのだ。

「そう」

いつか時間があれば、白穎に少し考え直すよう話してみようと思った。これだけ男がいるのに、なぜ一本の曲がった木、それも彼女を好きでもない曲がった木に首をつるようなことをするのだ...