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231話

「うん、そんな風にしないで」

森の端のこの辺りは、木が多く、光も届きにくいため、かなり暗い。そのため、この一帯は近隣のカップルが野外で情事を楽しむ絶好の場所となっていた。

案の定、まだ中に入りもしないうちに、中から漂ってくる甘い声が聞こえてきた。

まったく、運がいいというか……

「私たち、戻った方がいいんじゃない?」

程暁年はすぐに足を止め、私の手を引っ張りながら、顔を真っ赤にして、恥ずかしそうに前方から視線をそらした。

彼女のちょっとしたことですぐ顔を赤らめるこの癖は、絶対に直させなければならない。

私はふと思いついた。「何を怖がってるんだよ。相手が恥ずかしがってるわけでもないのに、お前...