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1296話

彼が笑い出した瞬間、私の動きは硬直してしまった。完全に不自然になり、本来ならミルクを作るはずだった手が、ミルク缶を掴むなり、そのままゴミ箱に放り込んでしまった。

彼の笑顔には、まるで魔法のような力があり、私を金縛りにしてしまったかのようだ。

私はしばらく呆然と見つめていた。

「うわーん!」

子淵がミルクを待ちきれずに泣き出して、ようやく我に返った。慌てて服で手を拭き、駆け寄って小さな体を慎重に抱き上げた。

「泣かないで、泣かないで。ママを呼んでくるから。お腹すいたんだね。パパが悪かった、パパが悪かったんだ!」

罪悪感でいっぱいになった!

あの柔らかな小さな瞳に涙が溢れる瞬間を見て、私の心はズタ...