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889話

山狼は本当に憂鬱だった。山中で二日間過ごし、出てきたとたん大雨に見舞われたのだ。

今夜は帰れそうにない。寨の中に入って適当に一晩をやり過ごすしかないと思っていたその時、道端の茂みが動いた。

動いた。あの茂みは間違いなく動いたのだ。

そうでなければ、どうして人間の手が生えて出て、彼を森の中へ引きずり込もうとするだろうか?

ほぼ同時に、山狼の顔は地面と親密な接触を果たし、つい先ほど捕まえたウサギも彼の手から逃れ、跳ねながら遠ざかっていった。

「いてっ!」

山狼は思わずその言葉を叫びそうになったが、口を開いたその瞬間、もう一つの手が強く彼の口を塞いだ。

ウサギを捕まえてい...